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東京タワー オカンとボクと、時々、オトン / リリー・フランキー
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン / リリー・フランキー_c0023084_02306.jpg去年図書館で予約して、やっと借りることができました。




えっと、これは、私の文章力で感想を書いちゃうと
なんだか薄っぺらくなっちゃいそうなのですが、
読んでる間、私は、
リリーさんに自分を重ねた時もあれば、
リリーさんのオカンに自分を重ねた時もあり、
両親や義両親を重ねたり、
リリーさんのおばあちゃんの描写を見ては
今は無き同居していた祖母や遠くに住む母方の祖母を思い出し、
そして最後にリリーさんに息子たちを重ねた時もあり、
その分、きっと独身の時に読むよりも数倍涙が出たんだろうなと思いました。

読んでる間、見て見ぬふりをしてたことが色々思い出されました。

センター試験で公立の芸大は見事にすべり、
一番学費が高いという噂の美大に受かって、
でもそれだけで自分が特別な気がしてたなぁ。

>そして、美術大学というところは特殊な価値観の中、
学生が温度の低い優越感を抱いている。
ボクはそんな環境をくだらないと思い、
個性という言葉の大好きな没個性の集団に最大級の軽蔑を抱いていたが、
その連中と自分との違いはどこにもみつかることがなく、
自己嫌悪と劣等感は消えることが無い

自己嫌悪を感じただけ救いがある、思った。
教育実習までしたのに、今その高校は統廃合でなくなり、
氷河期といわれた就職難で4年間かけて習ったこととはまったく無縁の職につき、
ばか高い卒業証書だけ残って、両親はさぞ落胆しただろうなぁ。
私は何がしたかったんだろう。
グループ展だ何だといって、
芸術家ごっこがしたかっただけなのかな。
昔から怒られた記憶が無い。
それはダメといわれた記憶が無い。
全部私にゆだねてくれて、
最大限に可愛がってくれて、
私の絵を飾ってくれて、褒めてくれて、
働いてる時も、いつでも私は甘えっぱなしだったなぁ。

お父さんとお母さんにちゃんと謝りたい。

同居していた父方の祖母に何故優しくできなかった時があったのかな。
なんてちっさい心の持ち主だったんだろう。
小学校の時、自転車に絡まって破れてしまった私のお気に入りのスカートを
一針一針縫ってくれたおばあちゃん。
私が長い間伸ばしていた髪の毛をばっさり切ったとき、
それでピンクッションを作ってくれたおばあちゃん。
近所で一畝だけ借りた畑で、おばあちゃんが育てた
小さなジャガイモを私と弟に掘らせてくれたなぁ。
おばあちゃんがモデルになってくれたデッサン、
褒められたって言ったっけ?
朝、トイレで倒れてたのを見つけたのは私で、
救急車を呼んだときは私って冷静だ、と思ってたけど、
意識があるかないかって消防署の人に電話口で聞かれて答えられなかった。
実家に帰ってもお仏壇に手を合わすのを忘れることが多くなってきたなぁ。
お墓参りも去年から行ってない。

おばあちゃんにちゃんと謝りたい。

車で実家から1時間半ほどのところに住んでる母方の祖母。
実家へ帰ったときも買い物にほうけて会いに行ってない。
少し足を伸ばせば会える距離なのに、それをしてないなぁ。
震災前に住んでた家はもうないけど、
遊びに行くといつも沢庵とかつお節の海苔巻を作ってくれたなぁ。
角砂糖入れの形も色もまだ覚えてるよ!
おじいちゃんが元気だったころも、
おじいちゃんが亡くなってからも、
あの急な階段のこと忘れてないよ。

尼ケ崎のおばあちゃんに謝りたい。

息子たちへ。
私はいいお母さんじゃないのに、
それでも慕ってくれるのは何でなんだろう。
いっそのこと嫌ってくれたほうが気が楽になるのになぁ。
リリーさんのお母さんやうちの母みたいに自分のことは後回しで、まず子供!
っていうのがなかなかできない。
怒ってばっかりでごめんね。
自分の時間が無いとか、
もっとこれがしたいのにとか、
それってほんとは子供と過ごす時間より大事なことなのかな?
わかってるのになかなかできない。

息子たちに謝りたい。

お義母さんのつくる料理は本当においしいです。
品数だってリリーさんのオカンといい勝負だと思う!
おとん、きっと今の食卓にまったく満足して無いだろうなぁ。
近くに住めなくてごめんね。
遊びに行くたび「雪の日に仕事に行くのはしんどいわ・・・」
って言われて、すごくすごく申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
最初にお義母さんが「同居はいや」って言ったのは、
ほんとは反対の意味だったのかなぁ。
鈍い嫁でごめんね。

お義母さんに謝りたい。

で、最後に、
こんな私でいいのかな。
おとんが掃除機かけてくれてる横でずっと本読んで、
読み終わったと思ったらいきなり抱きついて泣き出して、
料理は下手だわ、
寝坊はするわ、
子供に当たるわ、
お弁当のおかずはいつも一緒だわ・・・

おとんに謝りたい。


・・・というわけで(どういうわけだよ・・・笑)
機会があれば是非読んで見てください。
おとんはこれ読んだあと、松本大洋の花男を読み始め、
「もっと泣く」と言っておりました。
by drop-by-drop | 2006-01-20 00:20 | favorite
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